Watering

CLASKA ONLINE SHOP 速水真理のブログ

「アップデートする暮らし」第4回:鉄のフライパンに、誤解を詫び愛を叫ぶ

f:id:claskaonlineshop:20180322173143j:plain

鉄製のフライパン。料理好きな方々がたびたび、愛用品として紹介されています。格好良くて、素敵です。

けれど前々からわたしには、なんとなく「焦げ付きやすそう」「熱そう(ミトンを使うのは面倒)」「重たそう」「お手入れが難しそう」といったイメージが。どうも億劫で、敬遠してきました。

現代には、研究を重ねてガッチリ表面加工された、軽くて使いやすい優秀なフライパンが、あまた存在するではありませんか。

・・・・・・ところがある日、ドーのお店で好評の「工房アイザワ ブラックピーマン 鉄フライパン 16cm」を、CLASKA ONLINE SHOP でも取り扱うことになりました。

鉄のフライパンと、おっかなびっくり、初めて対峙する時が来たのです。

f:id:claskaonlineshop:20180322174001j:plain

CLASKA ONLINE SHOP で商品をご紹介する際には、必ず自分で実際に触れたり、使ったりしながらその魅力を理解し、撮影し、解説を書くようにしています。

取扱説明書を読み、ふむふむ・・・。「から焼き」など、使い始めに必要な手順を踏みまして、いよいよ。まずはシンプルに、目玉焼きを作ってみましょう。

f:id:claskaonlineshop:20180322174012j:plain

焼き始め。いきなり焦りました。

火の通りが、驚くほど早いのです。これまでの料理経験による焼け具合のイメージ映像を1.3倍速の早見再生で見ているような体感のうち、あれよあれよとプクプクこんがりツヤツヤはい、出来上がり。「鉄は熱伝導率が高い」という特徴が、知識ではなく実感としてズドンと腹に落ち、目を見張ります。

f:id:claskaonlineshop:20180322173143j:plain

いざ、実食です。食べて、さらに驚きました。

これまでにわたしが経験してきたどの表面加工のフライパンよりも、確実に、各段に、感動的に、美味しく焼けている。どうしたこの絶品。いつもと同じ卵と油を使った、ただの目玉焼きなのに。卵の味が、濃く深く感じられる。底はこんがり焼けて引き締まりなんとも香ばしい、と思いきや上はふっくらトゥルントゥルン。何より、炎と鉄の力強さがそのまま風味となって口いっぱいに広がる。目玉焼き史上最高の幸せに、わたしの体の全細胞が歓喜と祝福のスタンディングオベーションを送ったのでした。

おそるべし、鉄のフライパン。

自分が焼いたとは信じがたいほどの、助力。まるで突如、自分が料理名人になったかと勘違いして悦に入ることのできる、魅惑の道具だったのです。見事、心を射抜かれ、撮影後も続けて日常生活で使ってみることにしました。

するとこれまた目から鱗がぽろぽろと。以前抱いていたネガティブなイメージは、ことごとく誤解だったことが判明。次々と晴れていったのです。

「焦げ付きやすそう」
→最初だけ用心。使うたびにどんどん焦げ付かなくなる。

「熱そう(ミトンを使うのは面倒)」
→持ち手はそこまで熱くなく、素手で持てた。

「重たそう」
→小ぶりなサイズと薄さのおかげもあってか、軽々と持てた。

「お手入れが難しそう」
→知れば簡単。お湯で流し火で乾かし、油を塗るだけ。洗剤で洗わなくていい。

なんと、うれしい拍子抜け。これなら、ズボラなわたしにも愛用し続けられるという自信が湧いてきました。

それに、もちろん表面加工のフライパンの方が手軽で便利ではあるのですが、使ううちに必ず劣化したり剥げてきたりしてしまい、数年毎に買い替えが必要でした。

一方で鉄のフライパンは、使うほどに油が馴染んで層をなすため、劣化せず長持ちするどころかむしろ成長していく。大事にすれば買い替える必要がない一生物なのだ、と知ることもできました。

考えてみれば。どんなに表面加工技術が発達しても、昔からある鉄のフライパンが、変わらずずっと作り続けれられ、現代に残っている。愛用者を魅了し続けてきたのだという事実が何より、その実力を証明していると言えましょう。気づくまでに随分年月がかかってしまいましたが、先人に敬意、歴史に感謝です。

工房アイザワ ブラックピーマン 鉄フライパン 16cm」2,160円(税込)。この小ぶりなサイズ感と手軽さがまた、鉄のフライパンデビューにぴったりでした。

以来、魚に肉に野菜にきのこ、何でも素材をただ焼き、軽く塩をふるくらいで味わうのがいちいち美味しくて、うれしくて。

本来、調理後は「すぐに料理を器に移し、フライパンが温かいうちに洗うべし」なのですが、わたしの場合は出来立て熱々のところを一刻も早くハフハフ食べたいのでフライパンごと食卓に載せ、少々お行儀が悪いですが(スキレット感覚で)直接食べ、食べ終わってから洗っています。でも大丈夫。そこまで律儀に使い方を守らなくても付き合っていける包容力。とはいえ油は忘れず塗ってあげることで増す愛着。それも実際に使ってみて、初めてわかりました。もはや毎日使うようになり、すっかり慣れたので、(CLASKA ONLINE SHOP で取り扱いのない)大きなサイズのものも入手したところです。

面倒臭くて付き合いにくい堅物だとばかり思い込んでいた君よ、これまで長年、誤解してきてほんとうに申し訳なかった。せっかちで食いしん坊でズボラなわたしが、出合えてよかった鉄のフライパン。今は、食卓の中心で愛を叫んでいます。

 

(※鉄のフライパンは、油を使って「焼く」以外の「煮る」「蒸す」などは得意ではないので、手持ちの表面加工のフライパンや鍋と併用しています。)